モヒカンもかなり伸び、もう数ヶ月遅れのブログをベルリンにて思い出しながら書いている父・トシアキです。さてヒマラヤ3日目です。
今回のトレッキングのメインディッシュとも言えるウルトラ級な絶景を見るべく夜明け前にロッジを出て、かなり急な登り坂をグイグイ登りプーンヒルを目指す。日の出の時間もあるからちょっと気が焦るが、ソーマが息が苦しく頭痛を訴える。あらら、標高の問題かしら… プスぽんが後から一緒に行くから先に行ってと何か戦場の1シーンのようになった。チーちゃんもソーマに付き添ったのでリコと2人でプーンヒルを目指す。しかし山々は厚い雲に覆われていて、上から今日はダメだよなんて人達が降りてくる。
まぢっすか……
少ししたらかなり見晴らしがイイ場所があったので、一休みしてみんなの到着を待つ。こんな所にも携帯の電波塔が。。。

そういえばプスぽんは、いつでもどこでも山の中で携帯で話してる。そしてここでも…まだ夜明け前だってーのに、誰と話してるのか絶景よりも気になるよ。
気圧に弱いリコは至って元気。こんな時のリコはとてもイイ雰囲気を作ってくれる。日の出を見ながら「耳をすませば」のラストシーンを一人二役で演じていた。遅れて到着したソーマは毛布にうずくまり息苦しかったようで「もう無理、おれ死ぬかも」と弱音を吐き、より小さくなっていたが高山病ではなさそうだったので、そのまま下山する事なく一緒に日の出を待った。
分厚い雲に覆われていたがだんだんと晴れてきて、金色に輝く山の頂きが見えた。全くもって圧巻だ。神々しいったらありゃしない。まだ大部分が雲に覆われていてチラッとしか見えないから余計にありがたい。しかしあっという間に雲に覆われ、自分たちが立っている所も雲の中に入ってしまった。


正直もう少し見たかったが仕方がない。一路下山してロッジに向かう。しかーし!途中で太陽が強く光り、まるでその熱で雲を消し去るように全ての視界が開き始めた。あぁ、神様ありがとう‼ 完全にまぶたに焼き付いたそのパノラマは言葉には表しきれない美しさだった。何もかもがダイナミックで距離感がつかめない。
自然が作り出した彫刻のような山々の表面の陰影。山脈が全て太陽に照らされて、7000mの巨大な影が隣の山に映る。心の中の深い部分がジンワリ感動している。しばらく呆然としたが、来年の年賀状撮影をすべくプスぽんにカメラを渡して記念撮影。


薄々気づいていたが、彼は写真のセンスがない。微妙な感じであったが朝からテンションも高く朝ゴハンを食べて出発。


ここネパールは不定期にストを行う。ストの日はみんな働くことが禁止されていてバスやタクシー、一般車両やバイクなどエンジンがあるものも動かしてはいけないらしい。ちょうど下山してポカラに帰る日はどうやらそのストの日にあたってしまいそうで、徒歩で帰るしかない。みんなで相談した結果、もう一日増やしてゆっくり川遊びとかしながら戻ろうとプスポンに相談するが、彼から強く逆に一日削って前倒しで帰ることを勧められた。
再度家族会議を開いた結果、一日もはやくポカラに戻ってのんびりしようという結論に。もう疲れたと限界を訴えるリコ。ポカラの日本食「古都」でゴハンを食べることを糧に自らを奮いたたせる。
というわけで、先には進まず行きとは違うルートで帰路につくことに。
今日は少し登るが7割が下りだそうなので、もう一番キツイところは乗り越えたんだなぁと噛み締めながら朝の支度をして出発。昨夜酔っぱらい伝説を残したYO!YO!ガンバロウZEの兄さんと別れをかわしたが、やはり素の状態は想像通り穏やかな人だった。
そして出発して30分も経たないうちに、また登り。。。
最初っからメチャクチャきついやん!!とツッコミたくなるような階段。昨日まで蓄積された太ももをいじめるようなハードな登り。ちょっとずつ離れていくプスぽんの背中が遠く感じるぜ。
なんとか登りきった場所に休憩所があった。すでに雲の中で殆ど視界はなかったが時折切れ目で山々がクッキリと姿を表す。それはとても色鮮やかでシャープだった。なんて言うか質の良いオートフォーカスのカメラがビタッとピントを合わせてくれたように驚く程鮮明だった。眼下は真っ白な雲でプロペラ機のエンジン音が聞こえた。


記念写真とか撮っているうちに見覚えのある犬が。。。昨夜泊まったロッジの外で寝ていた老犬?が休憩していた。あまり気にしてなかったが、移動して森の中だけどこの付近で一番標高の高いという場所でも俺たちの休憩にあわせて、その犬も少し距離をおいて休憩。ビスケットをあげ一緒に休憩。それにしてもその森は雲の中ということもあったが神秘的で不思議と気持ちよく妖精さんが居る感じがしたなぁ。



控えめで愛らしいその姿からその犬はワン太郎と命名。プスぽん、ソーマ、ワン太郎、オレ、リコ、ヒロミの順番で歩いていたがオレ以降がのんびり写真を撮ってたりして前の二人と距離が空くと必ず途中で待っててくれる。ワン太郎まで追いつくとまたテケテケ歩き出す。なんかイイ!すっかりウチコシ一家のトレッキング仲間となったワン太郎はたまに興味のある物を見つけて森の中に入って見失うが必ず戻って来て列に加わる。急な下りも途中で待っててくれて追いつくと歩き出す。感動的な賢さ。
幾度目かの休憩所でクマみたいな犬とワン太郎は牙をむき出しにして唸り合う場面があった。『ワン太郎行くよっ!』の一声に彼も一行に戻り階段を下り始めたところで、そのクマみたいな犬は後ろからワン太郎を襲って来た。慌てふためいたのはワン太郎となぜかプスポさん。ちーちゃんはクマ犬に石を投げようと構え、プスぽんはワン太郎よりも早く階段を下り小屋みたいなのに逃げ込もうとしていたが、扉があかなかったのでワン太郎に石を投げようとする、、、それを止めるオレ。みたいな感じで一瞬だったが色々な出来事がスローモーションで見えた。
意気消沈気味なワン太郎。クマ犬を家族で罵声とともに蹴散らし先に進んだ。
プスぽんは以前ポカラの街で突然犬にふくらはぎを咬まれ半年程病院に通ったことがあり、野犬に対してトラウマがあるようだ。

石畳の山道をしばらく下り、沢におりるような横道にそれた。そこから先は今まで見て来たモノとは全く違う自然に入り込んだ。雪解け水が川になりところどころ大小な滝になったり、大木が倒れていたり。。。とにかくダイナミック!!しかも下りだから全然楽チン。写真では奥行きが出せなくてなかなかそのダイナミック感が伝えられないんだよね。


遅めの昼食をとり、まだまだ歩き続けるとポツリと雨が降り始め、あっという間に土砂降りに。幸いにもまた山道に入っていたから鬱蒼とした樹々が大粒の雨をしのいでくれた。それでも足下はヌルヌル。約束通りこける父。そしてリコも。。。



猿のたくさんいた神秘感満載の森を抜けようやく本日の目的地に到着。見晴らしのいい芝生の庭に花が咲く今までで一番素敵なロッジ、部屋もこぎれいで眺めも抜群。


ほぼ抜け殻状態のリコも母の助けでようやく到着して濡れた洋服と靴を脱いだ所でウギャーと悲鳴を上げた。またもやあのヒルが!!
慣れないよなぁコイツだけは。。。別に害はないけど気持ちが悪い。リコのヒルを排除して気持ちを落ち着かせて自分たちの靴を脱ぐとちーちゃんの足に3匹、オレの足には4匹のデップリと太ったヒルたちがくっついていた。今回こそは無理矢理はがさず、たばこの火ではがす事を試みるが、まったくきかないじゃん。葉巻サイズじゃなきゃダメなのか?
晩ゴハンの後に暖炉で暖まりながらワン太郎会議を開いた。俺たちは明日下山してポカラの街に帰るがワン太郎を連れては行けない。最終的にプスぽんに相談するが、こういう山のロッジではワン太郎みたいな犬にちゃんとゴハンをあげているから問題ないと。。。

静かに部屋の前のイスで丸くなって座るワン太郎に多めにビスケットをあげて、月明かりでみえる山々を眺めながらタバコを吸い、この風景ともお別れかぁ。。。なんて少しセンチメンタルになりながら美しく荘厳なブルーのグラデーションで出来た山の輪郭と雪のある部分のハイライトの美しさを目に焼き付けた。
あしたはまた元の世界に戻るんだなぁ。。。。。次回はベースキャンプまで行きたいと強く想うのでした。
TOSH